1.細胞傷害性T細胞(CTL)の反応特異性の解析 マウス骨髄腫MOPC-70A担癌BALB/cマウス脾細胞より樹立した細胞傷害性T細胞(CTL)バルク株、および、、CTLクローンの解析から、これらのCTLは、調べた骨髄細胞、脾細胞、リンパ節細胞などの正常細胞や、他の骨髄腫、白血病などの種々の腫瘍細胞とは反応せず、MOPC70A特異的に反応することが判明した。 2.抗原遺伝子のクローニング 腫瘍特異的CTL認識抗原を同定するために、MOPC70A細胞mRNAからcDNAライブラリーを作製し、マウスH-2遺伝子を導入したCOS7細胞に形質導入し、発現クローニング法によるスクリーニングを行った。その結果、MOPC70A特異的CTLクローンE10を活性化し、TNFおよび、IFNγの産生を誘導する1398bpのクローンを得た。また、得られた遺伝子の塩基配列の解析から、抗原遺伝子は、マウスアポトーシス誘導因子(mAIF)であることが判明した。 3.CTL標的エピトープの検索 抗原遺伝子の塩基配列をもとに欠質遺伝子(deletion mutant)を作成し、COS7細胞に形質導入し、CTLクローンE10の活性化を指標に検索し、標的エピトープをコードする遺伝子の領域は737bp〜870bpにあることを明らかにした。この結果をもとに、各種の推測されるペプチドを合成し、COS7細胞への感作試験を行い、10個のアミノ酸DLGPDVGYEAからなるペプチドが標的エピトープとなっていることを明らかにした。 4.抗原提示分子の検索 標的エピトープはCOS7細胞に提示されることがわかり、現在、COS7細胞およびMOPC70A細胞のcDNAライブラリーを作成し、抗原提示分子について発現クローニング法による検索を行った。抗原提示分子についての情報は年度内に得られなかった。 5.ELISPOT発現クローニング法の開発 抗原遺伝子および抗原提示分子の検索にあたって、今回スクリーニング効率の高いELISPOT発現クローニング法を開発した。
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