研究概要 |
◎転写因子GATA-1及びGATA-2による好酸球特異的gp91phox遺伝子発現調節の解明。 シトクロムb558重鎖(gp91phox) プロモーターの欠失体の活性を各種細胞株を用いて解析したところ、-105から-95塩基の領域が好酸球性細胞では転写促進活性を示すが、好中球性、単球性及びBリンパ球性細胞では示さず、本領域が好酸球特異的転写調節に関わっている事が示唆された。そして本領域中の-98塩基に存在する転写因子GATAのコンセンサス配列に変異を入れると本活性が失われた事から、このGATA部位(-98GATA)が本領域の活性に必須である事が示された。次に-98GATAに結合するDNA結合蛋白質の同定を抗GATA抗体を用いたゲルシフトアッセイにて行ったところ、好酸球性細胞ではGATA-1とGATA-2が特異的に-98GATAに結合する事が示された。さらにGATA-1またはGATA-2を発現させたCOS-7細胞を用いて両者の-98GATAに対する結合活性を解析したところ、両者は単独でしかも同様の親和性で結合する事が示された。両GATAを発現していないJurkat T細胞と-98GATAを含む+12から-105塩基のgp91phoxプロモータープラスミドを用いて両GATA因子の転写活性能を調べた結果、GATA-1,GATA-2単独では共に本GATA部位依存性のgp91phox転写促進活性が認められたが、両者共存下ではGATA-2はむしろGATA-1の競合阻害因子として働いている事が示唆された。これらの結果よりgp91phox遺伝子発現は転写因子GATA-1およびGATA-2により調節されている事が明らかとなった。GATA-1はgp91phox発現細胞中唯一好酸球でのみ発現している事から本機構を好酸球特異的gp91phox遺伝子発現調節機構と結論した。
|