遺伝子組換体を作成していたMCP-1(rrMCP-1)については、特異抗体を作成し、ELISA系を確立した。この測定系により、LPS誘導関節炎でのMCP-1の産生動態をみると、起炎後4時間目にピークを持つ単峰性の産生が見られた。この産生は抗TNFα抗体で57%が、IL-1Raで41%が抑制され、両者の同時投与で90%が抑制された。抗IL-8抗体では抑制は見られなかった。これらの結果から、LPS炎症でのMCP-1の産生は主にTNFαとIL-1により制御されていることが明らかとなった。このMCP-1の産生細胞は滑膜細胞であった。更に、rrMCP-1をウサギの膝関節に注射すると、24時間目にピークを有する単峰性の炎症細胞(ほとんどが単核球)の浸潤を起こすことが出来た。この時の他のサイトカインについて検討すると、IL-1Raのみが18時間目前後をピークとする産生が見られたが、TNFα、IL-1β、IL-8はいずれの時間帯でも検出されず、また、軟骨破壊も認めなかった。これらの結果はMCP-1による単核球の浸潤は急性炎症の増幅系には働かず、IL-1raを介して抑制に働いている可能性を示しており、その役割については検討中である。GROについても、遺伝子組換体(rrGRO)及び特異抗体の作成、ELISA系の確立を完了した。この測定系によりLPS誘導関節炎でのGROの産生動態をみると、2時間目に主なピークがあり、9時間目に小ピークが見られる。IL-1Raにより、2時間目と9時間目の産生はそれぞれ39%、67%が抑制され、GROの産生は主にIL-1により制御されていることが明らかになった。このrrGROを関節内に投与すると6時間目と12時間目にピークを有する炎症細胞(ほとんどが好中球)浸潤を起こすことができた。今後、他のサイトカインとの関連について検討を行う予定である。
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