研究課題/領域番号 |
11670237
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
島田 博子 (菅谷 博子) 秋田大学, 医学部, 助手 (30235626)
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研究分担者 |
石田 和人 秋田大学, 医学部, 助手 (60006731)
吉村 堅太郎 秋田大学, 医学部, 教授 (90053058)
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キーワード | 広東住血線虫 / BALB / c / 病態 / 抗IL-4モノクローナル抗体 / 好酸球増多 |
研究概要 |
広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis:Ac)感染に対する感受性や宿主の病態発現はマウスの系統により著しい差異があり、少なくともBALB/cにおける体重減少に伴う病態悪化はCD4^+細胞依存性である。しかしCD4^+細胞から産生される如何なるサイトカインがこれを制御しているかは不明である。これまでのIFN-γ欠損マウスや抗IL-5抗体投与マウスにおける感染実験より、IFN-γもIL-5もBALB/cマウスで見られる病態発現に直接的には関与しないことが判った。一方、感染マウスはTh2応答が優位であり、特にBALB/cではIL-4やIL-10の産生が顕著である。そこで、虫体の発育や病態発現に対するIL-4の役割を調べる目的で、感染マウスへ抗IL-4モノクローナル抗体の投与を行った。実験1では、BALB/cとC57BL/6に、Ac感染日から1日おきに抗IL-4抗体0.5mgを腹腔内注射し、感染後20日と31日に剖検した。その結果、BALB/cはC57BL/6よりIL-4の抑制が十分とは言えなかったが、抗IL-4抗体投与BALB/cマウスでは対照のIgG投与群より脳内虫体回収数の減少が認められた。つまりIL-4の抑制が脳内虫体の殺滅に繋がる可能性があることが判った。実験2では、BALB/cにAcを感染後0、7、14日に5-10mgを、以後2日おきに5mgの大量の抗IL-4抗体を投与し、感染後21日と30日に剖検した結果、感染後30日に有意な虫体回収数の減少が認められた。この虫体殺滅の理由は未だ不明な点が多いが、抗IL-4抗体投与マウスでは骨髄、末梢血の好酸球増多が増強あるいは持続される傾向があり、これにより脳内虫体殺滅が促進された可能性が考えられる。一方、抗IL-4抗体投与BALB/cマウスにおいて感染後15日以降に惹起される著明な体重減少は、実験1ではIgG投与群に比べ若干抑制されたが、実験2では群間で変化がみられなかった。つまりIL-4もIFN-γやIL-5と同様、病態発現に積極的関与はしていないと考えられる。
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