赤内型感染マラリア原虫の感染防御に対するNO・の役割を解明する目的で、まずInterferon-γReceptor knockoutマウス(IFN-γR-/-)とwild typeマウス(IFN-γR+/+〉にネズミマラリア原虫のPlasmodium chabaudi chabaudi AS(Pcc)を腹腔内に投与し、生存率、parasitemiaの推移、赤血球数の変動などを観察した。parasitemiaはPcc腹腔内投与3-4日後から出現し、10-11日に最高に達した後、大部分のマウスは貧血で死亡した。parasitemia、生存率、赤血球数などの変動にはIFN-γ R-/-とIFN-γR+/+の間に顕著な差を認めることは出来なかった。次に抗好中球モノクローナル抗体(RB6-8C5mAb)をPcc感染前日に腹腔内投与して好中球を枯渇させたマウスについて同様な観察を行った。その結果、IFN-γR-/-、IFN-γ R+/+の雌雄とも好中球枯渇マウスにおいて生存日数が延長する傾向が見られ、雌の一部のマウスは観察期間中生存した。そのparasitemiaの推移はPcc感染後8-11日と17-21日に二つの山を形成し、IFN-γR+/+では20-22日に赤血球からPccが殆ど排除されたが、IFN-γR-/-では減少の一途を辿り、感染後1カ月においても0.1%以下のレベルで赤血球内にPccを認めた。以上の結果は好中球がマラリア感染マウスの生存に障害を与えていると考えられた。今後は好中球枯渇マウスをモデルとして、マラリア原虫によって誘導される各種サイトカイン、NO・、O_2などの免疫反転に関与する可溶性物質の解析を行う。また、iNOS KOマウスを用いたこの種の感染実験も今年度から開始する。
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