1.PyRhopHの部分アミノ酸配列 ネズミマラリア原虫Plasmodium yoeliiメロゾイトから高分子量ロプトリー蛋白PyRhopH1(140kDa)を特異的に認識する単クローン抗体を固相化したアフィニティーカラムを用いてPyRhopH1を精製した。上記精製蛋白をリジルエンドペプチダーゼ処理し、逆相HPLCにて分離し、断片ペプチドのアミノ酸配列解析を行った。 2.ロプトリー蛋白(RhopH1)の遺伝子構造 ペプチド断片のアミノ酸配列を基に作成した縮重PCRプライマーと特異的PCRプライマーを用いてP.yoeliiのcDNAとゲノムDNA(gDNA)遺伝子のクローニングを行ない、PyRhopH1では3.9kbのcDNAと4.6kbのgDNAの全塩基配列を決定した。PyRhopH1は8個のエクソンからなり、アミノ酸配列をみるとアミノ末端にシグナル配列が認められ、エクソン2と5がシステインに富む部位であった。PyRhopH1のホモロジー検索では熱帯熱マラリア原虫で4個、P.yoeliiで1個の相同性の高い遺伝子が認められ、RhopH1は遺伝子ファミリーを形成している可能性が示唆された。明らかにしたPyRhopH1遺伝子を6個のブロックに分けDNAワクチンを作成した。これらを用いてマウスを免疫して、PyRhopH1に対する抗血清を作製した。間接蛍光抗体法(IFA)によって抗原の局在を観察したところ、PyRhopH1はP.yoeliiメロゾイト内に涙的状の蛍光が観察された。また、P.yoelii赤内型原虫を抗原とするWestern-blotを実施した結果、それぞれ140kDaの部分に特異的な免疫反応が認められた。以上の結果から、我々の解析したPyRhopH1、遺伝子が140kDaのロプトリー蛋白をコードする遺伝子であることを確認した。
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