研究課題/領域番号 |
11670244
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
青木 克己 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90039925)
|
研究分担者 |
勝又 達哉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10284712)
丹羽 正美 長崎大学, 医学部, 教授 (20136641)
|
キーワード | 住血吸虫 / ミラシジウム / 走化性 / cAMP / Klinokinesis / 集合 / 遊泳速度 / 方向転換 |
研究概要 |
住血吸虫ミラシジウムは貝分泌物に対して走化性を示す。本研究はミラシジウムの走化性運動発現機構におけるcAMPとCa^<++>の役割を明らかにすることを目的とする。平成11年度は、1.ミラシジウムの走化性運動を定量的に測定するための方法の開発と、2.cAMPに対するミラシジウムの走化性の有無を観察した。以下結果の要約を記す。 1.ミラシジウムの走化性運動の定量的測定法の開発 種々の方法を検討した結果、下記する方法によりミラシジウムの走化性運動を定量的に測定することが可能となった。13.0×2.0×1.63mm大の四角柱ガラス管を試作し、その中にミラシジウムを封入、遊泳運動を実体顕微鏡下に2分間ビデオに記録する。続いてガラス管の一端に貝分泌物をマイクロシリンジで注入し、5分間ミランジウムの注入部位への集合を記録する。後日ビデオの再生によりガラス管内でおこるミラシジウムの走化性運動(Klinokinesis)発現をミラジウムの分布、遊泳速度、方向転換頻度の変化で示した。 その結果、ミラジウムの貝飼育液への走化性を下記するごとく定量的に示すことが出来た。1)分布(集合):ガラス管長の1/4に相当する貝飼育液を注入した端側部の虫体密度は21〜44%の注入前値から注入後5秒で61%、10秒で72%、20秒で88%と増加し、この集合は2分間持続した。2)虫体の遊泳速度に変化はみられない。3)注入前は90度以上の方向転換頻度は極めて低い(0.03回/秒)が、集合時は明らかに増加する(0.71回/秒)。 2.cAMPのミラシジウムの走化性 ガラス管端へ40mM cAMPを0.5μl 注入すると著名な走化性が発現されることが明らかとなった。1)注入部位の集合密度は5秒で55%、10秒で68%、20秒で80%であった。2)遊泳速度の変化はなかった。3)方向転換頻度も明らかに増加した(0.68回/秒)
|