研究課題/領域番号 |
11670244
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
青木 吉己 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90039925)
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研究分担者 |
渡部 幹次 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (70325679)
藤巻 康教 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (10209083)
丹羽 正美 長崎大学, 医学部, 教授 (20136641)
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キーワード | 住血吸虫 / ミラシジウム / 走化性運動 / cAMP / カルシウム / 筋収縮 / エゼリン / セロトニン |
研究概要 |
平成11年度に住血吸虫ミラシジウムの走化性運動を定量的に測定できる方法を開発した。それを用いてミラシジウムに膜透過性cAMPを投与すると、ミラシジウムが中間宿主貝の分泌物への走化運動と全く同様の遊泳行動を示すことを明らかにし、走化性運動にcAMPが関与することを報告した。 本年度はcAMPが走化性運動にどのように関与しているのかを調べる実験を行い次のような興味ある結果を得た。 1)IBMX(100μM)でも走化性は惹起されるが、非膜透過性cAMPへはミラシジウムは全く反応しないことから、cAMPはセカンドメッセンジャーとして働いていることが考えられる。 2)serotonin(40mM)の投与によってもミラシジウムは走化性運動を惹起する。 3)eserine(0.1mM)の投与によってミラシジウムの貝分泌物への走化性は消失する。またeserineの存在下ではcAMPによる行動変容は起こらない。 4)cGMPの関与を暗示する実験結果は得られなかった。 5)Caキレート剤の存在下ではミラシジウムの貝分泌物への走化性が消失する。 以上の実験結果よりミラシジウムの貝分泌物への走化性運動の発現は次のように考えられる。ミラシジウムの体表のある乳頭で貝分泌物が受容されると、セカンドメッセンジャーとしてcAMPが生成され、カルシウムイオンとともに体壁筋の収縮をおこし、ミラシジウムは方向転換をくり返し分泌物に集合する。
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