研究概要 |
我々はPlasmodium yoelii circumsporozoite(CS)蛋白由来のKd拘束性epitope(PYE)をコードするminigeneをマウスhsc70遺伝子と融合、発現しこれで免疫することによりCTLの誘導を検討した。即ちPYEをhsc70のN又はC末に融合させた分子を作製し大腸菌にて発現させた(hsc70-PYE,PYE-hsc70)。この種類の融合分子を皮下、皮内、静脈内に各週2回免疫した。脾臓細胞を調整後PYEペプチドで6日間in vitro刺激を行い、P815(H-2d)に同ペプチドをパルスしたものを標的細胞としてクロム51遊離試験にてCTL活性を検査したところ静脈内投与が最も有効であった。脾臓細胞をペプチドで48時間刺激して得られたELISPOT assayでも同様の結果であった。また、hsc70によるCTL誘導にはCD4^+T細胞は必須ではなかった。しかし免疫の際にカラゲナンを投与するとCTL誘導は全く消失してしまうことからカラゲナン感受性の抗原提示細胞がhsc70融合分子のプロセッシングにあたると推測された。以上のことはhsc70は皮下ランゲルハンス細胞よりもむしろある細胞表面受容体をもつ特定の脾臓内抗原提示細胞に特異的にターゲッテイングされると考えられる。 次にhsc70のどの領域がCTL誘導に必須であるかを検討するためにhsc70のdeletion mutantsを作製し、これとPYEの融合蛋白を作製しCTL誘導能を検討した。その結果、hsc70280-385の間に必須領域があると判明した。 今後hsc70の受容体の特定が必須の課題であると考えられる。さらにhsc70280-385が細胞表面受容体を介して細胞内に取り込まれる可能性を今後検討しなければならない。
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