研究概要 |
1.生体試料中の光学異性メフロキン(R,S-体、S,R-体)の定量法の確立 稀用薬に属するメフロキンの血中濃度と治療効果の指標となる赤血球原虫感染率を検討するために必要な分離分析法を、高速液体クロマトグラフを用いて確立した。すなわち、血液試料を除蛋白した後、メフロキンをアルカリ性化でmethyl tert.-butyl etherに抽出した。ついで、残査にキラル試薬である(-)-1-(9-fluorenyl)ethyl chloroformateを加えて誘導体化して、高速液体クロマトグラフで測定する定量法を確立した。本定量法は、メフロキンラセミ体を投与された患者における光学異性メフロキンの血中濃度を、十分に追跡できる、高感度で特異性の高い方法であることを確認した。 2.患者におけるメフロキンの体内動態 今年度はメフロキンを投与されたマラリア感染患者における体内動態を検討した。メフロキンラセミ体を投与後の血漿および全血中のいずれにおいても、メフロキンのR,S-体の濃度の方がS,R-体の濃度よりも2〜8倍高いことが示された。 3.ラットにおけるメフロキンの体内動態 メフロキン20mg/kgをラットの静脈内投与した後の血漿中メフロキン濃度を測定し、動態学的解析を行い、メフロキンの全身クリアランスは平均4.1ml/min/kg、分布容積は19.7L/kgおよび消失半減期は60時間であることを明らかにした。
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