研究概要 |
免疫学的診断法は、免疫学的手法と寄生虫抗原のさまざまな組合せで、目的に適った最適な方法が検討されている。吸虫症では、虫体システインプロテアーゼ(CP)に対する抗体を検出する方法は極めて特異性の高い免疫診断法として実施されている。本研究では、吸虫CPを精製することなく、抗吸虫CP抗体を検出する方法を検討した。プロテインAはヒト、ウサギ、マウスなどのIgGのFcフラグメントと特異的に結合する蛋白質である。また、最近、蛍光合成ペプチド基質を使うことにより各種プロテアーゼについて微量測定が可能となった。これらのプロテインAと蛍光基質を利用して、最終的にマイクロプレート上で特異IgG抗体と結合した虫体CLPの検出を試みた。手順は、1)プロテインAを96穴マイクロプレート上に固相化する。2)2,000倍希釈被検血清を添加し、血中IgGを捕捉さす。3)虫体飼育液あるいは虫体抽出液を添加し、特異IgG抗体に虫体CLPを結合さす。4)カテプシンLの蛍光基質であるZ-Phe-Arg-MCAを添加し、蛍光分光光度計でプロテアーゼ活性を測定する。結果は、肺吸虫飼育液を添加した場合にはウェステルマン肺吸虫症患者血清のみに高いELISA反応性を認め、肝蛭飼育液を添加した場合には肝蛭症患者血清のみに高い反応性を認めた。どちらの場合でも、日本住血吸虫症、健常者の血清ではELISA反応性はみられなかった。精製抗原を必要としないプロテインA capture蛍光法が極めて特異性の高い免疫診断法であることが認められた。
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