研究概要 |
ブラジル国で分離した病原真菌Paracoccidioides brasiliensis(本邦で日系人を含むブラジル人から分離株を含む)について、リボゾームのITS領域である18S-5.8S-28S rRNAの遺伝子を解析して、本菌株に特異的なPCRによる同定用プライマーを作製した。本PCRプライマーは、P.brasiliensisのITS領域の418塩基を増幅するように設計されたもので、試験した29の菌株を全て同定することができた(ブラジル、ベネズエラ、アルゼンチン、コスタリカ、メキシコでの分離株を含む)。従って、海外よりの帰国者よりの本菌による原因菌の同定には、我々の作製した本PCRプライマーが有用であることが証明された(Imai T et al., Medical Mycology,in press)。 エイズ患者に特異的に感染する病原真菌Cryptococcus neoformans (Serotype B)が、その遺伝子パターンおよびITS領域の遺伝子配列から、4つのグループに別れることを見い出した。それぞれのグループは地域に特異的で、アジア型(2グループ)、アメリカ型(2グループ)に別れた。従って、分離されたこれらの菌株は遺伝子を解析することにより、地域が推定できることが明らかになった(Imai et al., Clinical Laboratory,in press)。 タイ国のエイズ患者から分離したHistoplasma capsulatum株については、ITSおよびETSの塩基配列を決定し,その塩基配列を北米株や南国株と比較した結果、タイ株は独立したグループを形成することが明らかになった。また。すでにタイ国の研究者との共同研究で作製した同定用プライマーが、本菌種の同定にも極めて有用であることを、本邦での工イズ患者(外国人)から分離した菌株を用いた試験でも確認することができた。
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