Borrelia burgdorferi297株gapdh遺伝子の翻訳可能領域1020bpをクローニングし、発現ベクターpMAL-c2を用いて大腸菌中でGbp37をマルトース結合蛋白質(MBP)との融合蛋白質(rfGbp37)として発現させた。精製rfGbp37を電気泳動したのち膜にブロットし、rfGbp37に対するスフィンゴ糖脂質ガラクトシルセラミド(GalCer)の結合性、及びTLCに展開したGalCerに対するrfGbp37の結合性を検討し、得られた組換え蛋白質がGalCerに対して特異的な結合活性を維持していることを確認した。さらに、すでにスフィンゴ糖脂質をレセプターとしてボレリアが接着することを確認しているCHO-K1細胞に対するrfGbp37の結合性をELISA法により検討し、200μg/mL程度で飽和に達する濃度依存的な結合を確認した。またボレリアのCHO-K1細胞接着に対し、rfGbp37は200μg/mLの濃度で約35%の競合阻害活性を示すことを明らかにした。 ボレリア菌体上のGbp37の分布状態を調べるため、抗rfGbp37抗体を一次抗体とし、金コロイド標識プロテインAを標識抗体とした菌体の免疫電子顕微鏡解析をい、菌体表層に付着した金コロイド粒子が観察され、さらに菌体の界面活性剤前処理による表層膜の傷害により粒子の付着数が減少したことから、Gbp37がボレリアの菌体表層に存在することを明らかにした。 またrfGbp37免疫マウスを用いたボレリアのfood padへの感染実験の結果、対照のMBP免疫マウスに比較して有意なfood pad腫脹の抑制がみられたことから、rfGbp37が感染防御能を有することを明らかにした。さらに様々なライム病ボレリア種を抗原とするELISAにおいても抗rfGbp37抗体は高い反応性を示し、Gbp37の抗原性は異なるライム病ボレリア種間でも保存されていることを明らかにした。
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