研究概要 |
1。3つのタイプのSCCmecの全塩基配列の決定と遺伝子の検索。 Type1-SCCmec(NCTC10442),Type-II SCCmec(N315)の全塩基配列に引き続いてType-III SCCmec(85/2082)の全塩基配列を決定した。三つのTypeのSCCmecの長さは、Type-I,34kb,Type-II,52kb,Type-III,67kbとそれぞれ異なっており、塩基配列の上でもそれぞれのTypeに特異的な領域が存在した。しかし、この三つのTypeのSCCmecには共通した以下の特徴が存在する。:(1)両末端の特徴的な塩基配列(両端のinverted repeat sequence,及び左端末端に隣接する染色体部位とSCCmecの右端末端とに存在するdirect repeat sequence)(2)mecI-mecR1-mecAあるいはΔmecR1-mecA遺伝子複合体の存在。(3)SCCmecの転移に関与する部位特異的組み換え酵素cassette chromosome recombinaseの存在である。 2。MRSA,MSSA,MRC-NS、MSC-NSにおけるccrA,ccrB遺伝子の存在をPCR法を用いて検討した結果、MRSAの殆どは、いずれかのtypeのccrA,B遺伝子が検出されたが、MSSAでは、全く検出できなかった。MRC-NSの場合は、ccr遺伝子が検出されるものと検出されないものが存在した。また幾つかのMS-CNSにおいて、ccr遺伝子が検出された。この知見は、SCCmecの起源を明らかにする上で大変重要である。 3。mecの伝達を解明する目的でSCCmecのファージによる伝達及び接合伝達の検討を行った。 (1)SCCmecをphage transductionで伝達する系を確立した。このphage transductionとccr遺伝子との関連を現在検討中である。 (2)SCCmecの伝達実験 SCCmecの中にはtransferに関与する遺伝子は見いだされなかった。Filter matingをおこなってみたが、これまでの検討した範囲では、接合伝達は見られなかった。
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