研究課題/領域番号 |
11670276
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
藤巻 わかえ 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90256496)
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研究分担者 |
八木 淳二 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70182300)
今西 健一 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (80124527)
内山 竹彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00050550)
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キーワード | 細菌性スーパー抗原 / ヒトT細胞 / 胸腺外成熟 / 細胞内シグナル伝達 / Lck / CD45 / T細胞サブセット |
研究概要 |
本研究の目的は、細菌性スーパー抗原に対するヒト生体内T細胞の細胞内シグナル伝達機構を明らかにすることである。 まず、免疫寛容状態にある成熟胸腺T細胞と成人末梢血T細胞の比較について、昨年までに、src family kinase(Lck)の活性に顕著な差があることを報告した。すなわち、刺激に伴い末梢血のLckはphosphataseCD45により速やかに脱リン酸化されキナーゼ活性も急激に上昇するのとは対照的に、胸腺細胞ではCD45とLckが物理的に乖離していてLckは脱リン酸化されず、キナーゼ活性も全く上昇しないことを明らかにした。今年度は、シグナル伝達の機能的コンパートメントとして重要なmicrodomainであるraftへのLck分子の集積を検討した。その結果、raftへのLck分子の集積が末梢血のみで観察された。以上より、細菌性スーパー抗原によるT細胞の活性化にはCD45によるLckの活性化が重要であること、また成熟胸腺細胞においては両分子の物理的乖離によりLckが活性化されず免疫寛容状態にあることが明らかとなり、論文にて発表した。 次にヒトT細胞のサブセットであるCD4^+T細胞とCD8^+T細胞の細菌性スーパー抗原に対する反応性の差異を、増殖能・サイトカイン産生能・細胞障害活性の側面から検討した。その結果、CD4^+T細胞では、細胞増殖反応およびインターロイキン(IL)-2やIL-4の産生能が優位に、また、CD8^+T細胞ではインターフェロン(IFN)-γ産生能と細胞障害活性が優位であった。以上、それぞれ独自の反応性を有していることが明らかとなり、論文にて発表した。現在この反応性の相違についてシグナル伝達の面から検討中である。
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