腸管出血性大腸菌0157感染症は、アメリカおよび、日本の大阪府堺市におけるように先進国において爆発的な流行を見せる場合がある。その症状の重篤性は特に小児おいて著しく、溶血性尿毒症症候群を引き起こすことがしられている。溶血性尿毒症症候群の治療は困難で、その発症を防ぐ手だてこうずることが必要である。そのためには、溶血性尿毒症症候群の原因とされるベロ毒素生産機構を解明する必要がある。ベロ毒素遺伝子はO157溶原化するラムダ様ファージにコードされており、本研究により私たちは、このラムダ様ファージの一つであるVT2ファージの全ゲノム構造を明らかにした。その結果、VT2ファージの基本的なゲノム構造はラムダファージと極めて類似していることが判明した。ベロ毒素遺伝子は後期転写遺伝子群に属し、ファージの増殖とリンクした形でベロ毒素遺伝子は転写されると思われる。 本研究では、stx2遺伝子の発現機構を明らかにするために、stx2の上流にあるpR'プロモーターの同定を行つた。その結果、Q遺伝子の3'端18O塩基では非常に高いルシフェラーゼ活性を確認することができたが、Q遺伝子の3'端180塩基にそのさらに下流320塩基を加えた配列をルシフェラーゼ遺伝子の上流につないだ場合には活性が低下した。このことはQ遺伝子の3'端180塩基にプロモーターが存在し、その下流320塩基にはターミネ-タ-が存在することを意味する。ターミネターに関しては、in vitro転写により、その存在が同様の位置に確認された
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