研究課題/領域番号 |
11670280
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
岡本 敬の介 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70131183)
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研究分担者 |
山中 浩泰 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (30202386)
藤井 儀夫 徳島文理大学, 生薬研究所, 助教授 (60122587)
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キーワード | 大腸菌 / アエロモナス菌 / 毒素 / 分泌 / 膜 / 遺伝子 |
研究概要 |
腸内細菌感染による下痢症の多くは、菌から菌体外に放出された活性型の下痢毒素(エンテロトキシン)の作用により生じる。それ故、これらの菌の病原性を明らかにするためには、エンテロトキシンの活性構造構築過程および菌体外への放出過程を明らかにする必要がある。本研究では大腸菌耐熱性下痢毒素(STIとSTII)およびアエロモナス菌下痢毒素の活性構造構築過程および菌体外への放出過程の解明に取り組み以下の成果をあげた。 (1)STIとSTIIの外膜通過にはtolC蛋白が必要 TolC遺伝子を変異させた変異大腸菌を解析し、STI、STIIが外膜を通過する際にはtolCとよばれる外膜タンパクが必要である事を明らかにした。 (2)tolC蛋白の構造と機能 TolC遺伝子を部位特異的変異法で変異させ、その変異tolCの機能を解析した。その結果tolCのカルボキシ末端が変異しても、tolCの外膜への挿入能力は保持されるが、STを分泌する機能は不全におちいることを明らかした。 (2)アエロモナス菌下痢毒素の活性構造構築過程 アエロモナス菌下痢毒素は溶血毒活性をも有する毒素であることを証明し、さらにこの下痢毒素は菌体外では不活性な2量体(前駆体)として放出され、プロテアーゼの作用をうけて活性化されること、2量体は下痢毒素のカルボキシ末端をトリガーとして、ペリプラスム内で形成されることを明らかにした。また2量体が形成されないとこの下痢毒素は菌体外へは放出されず、菌体内で分解されることを明らかにした。この結果はアエロモナス菌下痢毒素のカルボキシ末端の構造は活性型の毒素が菌体外にあらわれる過程すなわち菌の下痢活性を支配している重要な領域であることを示している。
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