gp34はTNFファミリーに属し、T細胞の活性化マーカーであるOX40と結合するが機能は不明な点が多い。.gp34の発現機構もその一つである。HTLV-I Taxはプロモーターに存在するNF-κB様配列を介してgp34遺伝子を活性化する。しかし、この配列は典型的なNF-κB結合配列とは異なりTPA単独では活性化されない。そこで、gp34のNF-κB様配列の活性化機構を、TPAを含めたT細胞活性化刺激とTaxと比較して解析している。 アッセイ系を簡易化するために、CATアッセイからルシフェラーゼアッセイに変更した。ヒトT細胞株Jurkatを用いて再現性を調べたところ、CATアッセイと同様の結果が得られた。そこで、Jurkat細胞にgp34遺伝子のNF-κB様配列を持つルシフェラーゼプラスミドをトランスフェクトし、培地中にTPAと様々な薬剤または抗体を加えて、TPA単独に比べてレポーター活性が増強されるかどうかを検討した。まずイオノマイシンを検討したところ、ほとんど増強されなかった。このことからgp34遺伝子のNF-κB様配列を活性化するTaxの経路は、細胞内カルシウム濃度の上昇に起因するシグナル伝達系を介するものではないと考えられた。また、抗CD2抗体・抗CD3抗体・抗CD4抗体・抗CD28抗体を作用させたが、同様にレポーター活性の増強は認められなかった。しかし、これらの抗体処理により活性化されるはずのNF-κBやNF-ATのレポーター活性も増強が認められなかった。そこで、本実験に用いたJurkatの細胞表面上にこれらの抗原分子が発現していない可能性を考え、フローサイトメーターにより検討したところ、いずれも分子も発現が認められなかった。そこで、それらの抗原分子がすべて発現していることの期待される原株に近いJurkatクローンを入手し、細胞表面分子の発現を検討中である。
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