突発性発疹患児から分離したHHV-6B HST株の全塩基配列を決定した。この結果、U83がケモカインホモログ、U12とU51がケモカインレセプターホモログであった。さらに、variant AのU1102株やvariant BのZ29株と比較した結果、HST株のU83はシグナルペプチドを有しているのに対して、U1102株のU83はシグナルペプチドを有しておらず、分泌されないことが明かとなった。HST株のU12は既に報告したように7回巻く貫通型のG-protein coupled receptorであるケモカインレセプターとして機能しているのに対し、Z29株のU12はtruncateしており、生物活性を有したタンパクの合成は行われない。このことから、in vitroでのウイルスの増殖にU12とU83は必須ではないことが明かとなったが、病原性やin vivoでの局在性に関わっている可能性も示唆された。 HST株のU83がコードしているタンパクの機能解析を行った結果、ウイルス感染のlateに発現し、培養上清にシグナルペプチドが切断されたタンパクとしてに分泌されること、さらにその切断部位をが明かにした。U83とFcとの融合タンパクを発現、精製し、シグナル伝達に対する機能解析に用いた。その結果、単核球のcell lineであるTHP-1に対して細胞内カルシウム濃度を上昇させることが明かとなった。さらに、そのシグナル伝達はTHP-1細胞のchemotaxisに関与することが明かとなった。以上の結果から、U83は感染細胞内でウイルス粒子が完成後、感染可能な未感染の単核球細胞をchemotaxisにより誘導し、感染細菌の近傍に集め、感染し、広がっていくことが予測された。
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