研究概要 |
U12発現(K562)細胞を用いてSRE,ERK,CREB,IP3の活性あるいは濃度をRANTESの添加時と添加してない時で比較した。その結果、コントロールに比べ、RANTESの添加により合成量が増加したのはIP3のみで、SREやCREBは全く活性化されなかったし、ERKのリン酸化の差も認められなかった。1998年に報告したU12を介したRANTESからの細胞内のCa^<2+>濃度の上昇はケモカインからの古典的なシグナル伝達系であるIP3を介したものであることが明かとなった。しかし、Ca^<2+>濃度の上昇は非常に低いものであった。 HHV-6感染細胞ではその感染後期に細胞表層にインテグリン関連タンパク質が誘導されてくることがFACSを用いた実験より明らかになった。また、U12発現(K562)細胞において、細胞凝集が認められた。一方、CCR-5の場合、RANTESに対するシグナルとして二相性を示し、低濃度では、古典的なシグナル伝達系がGiを介して作用する。しかし、1μMを超える濃度を添加した時、G_<16>とチロシンキナーゼを介したNFkBの活性化とさらにインテグリン関連タンパク質の誘導が報告された。さらに、U12はGiを介してシグナル伝達を行っていないことを明らかにした。以上のことから、U12を介してのシグナル伝達もGqやG_<16>といった本来ケモカインレセプターが用いているGiとは異なるGタンパク質を用いて行い、古典的なシグナル伝達系以外のシグナル伝達の存在が示唆された。さらに、このシグナル伝達の結果、インテグリン関連タンパク質が誘導されてくることが予測された。
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