研究概要 |
これまでに我々は、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)の潜伏感染遺伝子を同定していたが、今回新たに、HCMVとおなじβヘルペスウイルス亜科に属するヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)とヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)の潜伏感染遺伝子を同定した。これらの潜伏感染遺伝子は、各々のウイルスの前初期遺伝子ie1/ie2の領域にコードされており、ie1/ie2と同方向にコードされるsense transcriptと、反対方向にコードされるantisense transcriptが見出された。これらの遺伝子上に存在する蛋白の機能を検討するために、Yeast two-hybrid screeningを11個のORFに対して行った。この結果、HCMV,HHV-6,HHV-7のantisense transcriptにコードされている152アミノ酸、160アミノ酸、97アミノ酸からなるHCMV ORF152,HHV-6ORF160,HHV-7 ORF97がいずれもカルシウムシグナルに関係する宿主蛋白calcium signal modulating cyclophilin ligand(CAML)に結合し、その機能を抑制することが判明した。さらに、これらの結果より、βヘルペスウイルスの再活性化シグナル伝達には、CAMLが関係すること及びantisense transcriptが再活性化の初期に再活性化シグナルを阻害することによって潜伏感染を安定化させるということが明らかになりつつある。
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