研究課題/領域番号 |
11670300
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
河野 友子 長崎大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60284684)
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研究分担者 |
松山 俊文 長崎大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30165922)
山本 一男 長崎大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70255123)
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キーワード | IRF-3 / IFNβ / dsRNA / 発現スクリーニング / in vitroリン酸化アッセイ |
研究概要 |
インターフェロン制御因子-3(IRF-3)は様々な細胞の細胞質に不活性型として存在しているが、ウイルス感染やdsRNAの投与によりC末端領域に存在するセリン・スレオニン残基がリン酸化されて活性化し、核に移行してCBP/p300と会合することによりインターフェロンβ(IFNβ)の発現を誘導する。しかし、このIRF-3の活性化に重要な役割を果たしているリン酸化酵素の本体については現在のところ全く判っていない。本研究は、ウイルス感染時におけるIRF-3のC末端領域のリン酸化に関与する酵素、及びIRF-3活性化に伴う細胞内情報伝達機構の解析を目的とする。 IFNβプロモーターをもつルシフェラーゼレポータープラスミドを作製し、IRF-3発現プラスミドと共に種々の細胞に導入し、dsRNA添加前後のレポーター活性を比較した。ほとんどの細胞でdsRNAの添加によらずレポーター活性の恒常的な上昇が認められたが、HeLa細胞では添加前の活性が低く、dsRNAの刺激によってレポーター活性が誘導された。NTera2細胞においても同じく添加前の活性が低かったが、dsRNAを添加してもそれ以上の活性の増加を認めなかった。従ってこれら細胞株においては、他の細胞とは異なるIRF-3活性化機構が存在することが考えられる。この結果を踏まえ、IFNβプロモーターの制御下にマウスH-2K^k遺伝子を発現するプラスミドをHeLa細胞に導入し、安定形質転換株を得た。この細胞株にIRF-3を導入しdsRNA刺激後のH-2K^kの発現を確認したが、dsRNA添加後の細胞傷害が著しく、以後の解析には適さないことが判明した。そこで、選択マーカー遺伝子をGFPに変更し、先と同様に安定形質転換株を得た。この細胞株にcDNA発現ライブラリーを導入することにより、IRF-3とdsRNA刺激に依存したGFPの発現増強を指標にして情報伝達因子をスクリーニングすることができる。これらin vivoアッセイシステムの構築と並行して、IRF-3のリン酸化をin vitroで誘導し検出する実験系の構築を試み、IRF-3の恒常的なリン酸化を検出することに成功したが、dsRNA添加によるC末端部位のリン酸化を誘導するまでには至らなかった。
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