研究課題/領域番号 |
11670306
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
小田切 孝人 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (80177237)
|
研究分担者 |
小渕 正次 金沢医科大学, 医学部, 助手 (70257450)
大原 義朗 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50203914)
|
キーワード | インフルエンザウイルス / BM2蛋白 / ウイルス粒子形成 / vRNP細胞内輸送 / two-hybrid |
研究概要 |
インフルエンザBウイルスの7分節RNAによってコードされているBM2蛋白は、B型ウイルスのみに存在するユニークな蛋白で、その性状や機能は殆ど分かっていない。我々は既に、BM2蛋白の性状を抗BM2抗体を用いて解析し、BM2は感染性ウイルス粒子の産生にとって不可欠な蛋白であることを報告した。本研究ではBM2蛋白の機能解析を行い、以下の成績を得た。 1 BM2蛋白が結合するウイルス蛋白の同定。界面活性剤で分解した感染性ウイルス粒子を各ウイルス蛋白に対する抗体で免疫沈降したところ、BM2蛋白はM1蛋白と結合していることが示された。そこで、感染細胞内で既にBM2-M1複合体を形成しているのか否かを動物細胞内two-hybrid系を用いて解析した。その結果、BM2はM1およびヌクレオカプシド(vRNP)核外輸送蛋白NS2と結合することが分かった。M1、NS2蛋白はvRNP複合体を形成することから、BM2もこれらと結合することでvRNP複合体を形成していると考えられた。 2 COS-1細胞から産生されるウイルスの性状。B型ウイルスをCOS-1細胞で増殖させると、感染性のない粒子が産生された。この粒子にはvRNPとBM2蛋白が含まれていなかった。 3 感染細胞内におけるBM2蛋白の局在。感染性粒子を産生するMDCK細胞では、感染後期にBM2蛋白は粒子出芽部位の細胞膜へ移動した。その結果、BM2はvRNPとともにウイルス粒子に取り込まれた。一方、非感染性粒子を産生するCOS-1細胞では、BM2蛋白は核膜外周に局在して存在し、細胞質内での移動は見られなかった。このことから、COS-1細胞内では、BM2-vRNPと結合して、vRNPの細胞質内輸送およびウイルス粒子への取り込みに関与する蛋白であることが示唆された。
|