研究概要 |
免疫系は生体防御に有用な一方で、その異常亢進は様々な免疫病を引き起こし生命のリスクとなる。従って、免疫系を負に制御する機構は重要と考えられる。LC-PTPは、リンパ球に選択的に発現するチロシン脱リン酸化酵素(protein tyrosine phosphatase,PTP)で、MAPキナーゼ(MAPK)と結合し、これを直接抑制するが、LC-PTPの制御機構について以下の点を明らかにした。 (1)LC-PTPがERK、p38/HOGと複合体を形成し抑制するが、JNK/SAPKとは結合せず抑制もしないことを明らかにした。 (2)MLC-PTP上のArg41、42がMAPKとの結合性に必須なことを明かにした。MAPKのsem型変異がLC-PTPとの結合性を失うことを明かにした。 (3)MAPKとLC-PTPの特異的結合が、MAPKの抑制に必須な機構であることを明らかにした。 (4)LC-PTPタンパクは、抗原受容体(TCR)刺激前から存在していたが、TCR刺激後ゆっくり増加した。 (5)Tリンパ球の抗原受容体刺激後、LC-PTPがERKでリン酸化されることを示し、それが、調節的な意義を持つ可能性を示した。 (6)LC-PTPと結合せず抑制を受けない、sem型変異を導入したp38を作成した。内在性LC-PTPを発現するJurkat細胞で、sem型p38は野生型p38に比べて機能亢進を認め、MAPK抑制機構の意義を検討する上で有用なプローベと考えられた。
|