【目的】 胚中心は濾胞構造を持ち、B細胞、濾胞樹状細胞および微量のT細胞によって構成され、B細胞のアフィニティー成熟やメモリー形成にとって重要な場所である。そこで濾胞内微量T細胞の機能を解析する目的でニワトリ単一胚中心内で利用されているT細胞リセプター遺伝子をクローニングし、そのレパートリー解析を行なった。さらに収束機構の解明の為に、V、D、Jゲノム遺伝子周辺の遺伝子配列の検索を試みた。 【結果および考察】 免疫後4日、7日、14日のニワトリ脾臓から単一胚中心を分離し、それぞれからレコンビネーションしているTCR遺伝子をクローニングし、そのレパートリー解析を行なったと。 1)まず初めに、非免疫の脾臓から得られたCDR3とは異なるものであった。しかしながら、単一胚中心からはVβ1遺伝子が異なるが-N-D-N-J-の配列を同じに集束したCDR3配列を観察した。 2)7日の胚中心3個は7/19(レパートリー/クローン)、4/16、12/22、7/10で、フレームシフトが認められたレパートリーも多かったが、14日後の胚中心では2/39、2/29、2/35であり、フレームシフトもなく集束率が昂進していた。 3)抗体遺伝子のgene conversionの機構には、Vエクソン内に存在するenbeded heptamerが使用される可能性が示唆されているが、この配列に類似した配列がVβ遺伝子内、およびJβ遺伝子内に多数存在していることも明らかになった。 4)胚中心内で、TCR Vβ鎖のVDのレコンビネーション時に切り出される環状DNAを検出した。 5)胚中心内でRAG発現、特にRAG2の高発現が観察された。 これらのことから、胚中心内でT細胞が経時的にポリクローナルからオリゴクローナルへ選択集束される可能性が示唆され、末梢の胚中心において、危険を冒しながらもT細胞はリセプターエディティングを起こしている可能性を強く示唆した。
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