IL-13遺伝子のアレルギー疾患発症における遺伝学的意義について検討した。IL-13遺伝子上における一塩基多型(SNP)の有無をSSCP法で解析し、110番目のアミノ酸がアルギニンからグルタミンに置換されるSNPが存在することを同定した。次に、グループ別した気管支喘息患者、正常者由来の遺伝子におけるこのSNPの出現頻度の解析を行い、その結果、日本人、イギリス人のどちらのグループにおいてもアトピー性、非アトピー性に関わらず、喘息患者においてグルタミンの出現頻度が高くなっていることが明かとなった。また血中IL-13値も、グルタミン型においてアルギニン型に比べて高かった。これらのことより、IL-13遺伝子は喘息の原因遺伝子の一つであると考えられた。 IL-13の肺組織における標的細胞を同定するために、抗IL-13Rα1モノクローナル抗体を作製し、免疫染色を行った。その結果、IL-13Rの構成成分であるIL-13Rα1とIL-4Rαは、ともに気道上皮細胞と気管支平滑筋に高発現していていることが判明し、これらがIL-13の主要な標的細胞であることが明かとなった。 さらに、種々のIL-13Rα1を細胞株に発現させて、IL-13のシグナル伝達経路を解析した。その結果、IL-13Rα1の膜貫通部分に近いBox1領域にチロシンキナーゼであるTyk2が結合すること、IL-13刺激により転写因子であるSTAT3がSTAT6に加えて活性化されること、IL-13Rα1のC末側のチロシン残基にSTAT3が結合することなどが判明した。
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