研究課題/領域番号 |
11670325
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60243961)
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研究分担者 |
白澤 専二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10253535)
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キーワード | 胸腺内T細胞分化 / 単クローン抗体 / CD4^+CD8^+胸腺細胞 / TCR-MHC / ペプチド複合体相互作用 / アポトーシス / Thy-1 |
研究概要 |
CD4^+CD8^+胸腺細胞の大半は、TCR-MHC/ペプチド相互作用を欠くことより、正の選択を生き残れずアポトーシスに陥ると考えられているが、その分子機構は不明である。本研究では、我々が樹立したCD4^+CD8^+胸腺細胞特異的に、その約70%に反応する単クローン抗体1D11を用いて、その認識するリガンド(1D11-L)の同定及び機能解析を通じて、'default apotosis'の分子機構の解明を進めている。CD4^-CD8^-胸腺細胞をin vitroで分化させるとほとんどすべてのCD4^+CD8^+胸腺細胞が1D11で染色されるのに対して、抗CD3抗体でTCRを架橋するとその陽性率が著減した。また、TCRVβ3導入遺伝子とスーパー抗原であるMTV13のいずれか一方を発現するマウスのCD4^+CD8^+胸腺細胞の約70%は1D11で染色されるのに対して、両者を共に発現するマウスにおいてはその陽性率が著減した。以上より、1D11-Lは、TCR-MHC/ペプチド複合体相互作用を欠くCD4^+CD8^+胸腺細胞に特異的に発現すると考えられた。また、1D11-L^+CD4^+CD8^+細胞は、1D11-L^-CD4^+CD8^+細胞に比べ、アポトーシスに対する感受性が亢進していることを見いだした。1D11の反応性は抗Thy-1抗体により影響を受け、この知見を基に行った種々の実験結果より、1D11-Lはクラスターを形成したThy-1抗原であることが示唆された。共焦点レーザー顕微鏡により、胸腺細胞上のThy-1抗原の分布を観察すると、確かにCD4^+CD8^+細胞の一部で、Thy-1抗原がクラスターを形成していた。これらのことより、Thy-1抗原のクラスター形成が、TCR-MHC/ペプチド複合体相互作用を欠く結果生じる'default apoptosis'に関与していることが示唆された。
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