研究概要 |
本課題ではレクチン経路に関与するセリンプロテアーゼと低分子量蛋白のsMAPについて研究を行ってきた。平成12年度は以下の成果を得た。 1)MBLにはMASP,sMAPが,一方C1qにはC1r,C1sが結合した複合体がヒト血清中にあることを明らかにした。このことから、以前より議論となっていたMBL-C1r,C1s複合体の存在は否定された。 2)MBLのオリゴマーの一つの3量体(MBL-I)にはMASP-1とsMAPが結合している。sMAPの機能として、MBL-IとMASP-1の複合体形成への関与が推定されていた。そこで、MASP-1とsMAPを外したMBL-Iを調製してMASP-1との結合性を検討したところ、sMAPがなくても両成分は結合しsMAPの存在でもこの結合性は増大しないことがわかった。 3)ヒト血清ficolin/P35-MASP複合体をレクチン成分ficolin/P35とMASP,sMAPとに2分画する方法を開発した。これらの成分とMBL-MASP複合体より分離して得られたMBLとMASP,sMAPを用いたところ、対応するレクチンとMASP,sMAPの他に、対応の異なる組み合わせでも再構成され互換性があることがわかった。 4)3)に関連して、ヒト血清より単離したficolin/P35にはリコンビナントのMASP-1,MASP-2,sMAPが各々単独で結合することが明らかとなった。
|