1.TRAF2およびTRAF5の生体における役割を詳細に検討するため、TRAF2/TRAF5ダブルノックアウトマウス(DKO)を作製した。TNFによるNF-κBの活性化はTRAF2あるいはTRAF5のいずれのノックアウトマウスにおいても著明な障害がみられなかったものの、DKO由来の胎児線維芽細胞(MEF)においては著明なNF-κBの活性化の障害が認められた。さらにDKO由来のMEFはTNF誘導性の細胞死に対して、TRAF2 KO由来MEF以上に感受性が上昇していることが明らかとなった。 2.DKO由来MEFにおいて見られたTNF感受性の上昇したメカニズムを明らかにするために、TNF刺激前後において種々の抗アポトーシス遺伝子の発現を野性型MEFと比較した。検討した遺伝子のなかではBcl-2ファミリーに属するA1/Bfl-1の発現誘導が著明に低下していた。しかしながら、A1/Bfl-1をレトロウイルスベクターを用いてDKO由来MEFに発現させても部分的にしかTNF誘導性細胞死を抑制することはできなかった。これらのことを総合すると、TNF刺激時にNF-κB依存性に誘導されるA1/Bfl-1以外の抗アポトーシス遺伝子の発現の低下がDKOで見られたTNF誘導性細胞死の亢進の原因である可能性が示唆された。
|