乾燥トウガラシ20gをすり潰し、400mlのメタノールで抽出を行った。抽出液をろ過し蒸発乾固した(メタノール抽出物)。これをヘキサン・水(6:1)液に加え、液-液抽出を行った。ヘキサン層は蒸発乾固し(ヘキサン抽出物)、変異原試験Ames法(TA98+S9mix)に供した。水層はSep-Pak C_<18>カラムに通過させ、水で洗浄。カラムに保持された脂溶性成分をメタノール-水によるステップグラジュエントで溶出させた(10分画)。減圧下で蒸発乾固し(分画抽出物)、変異原試験に供した。水層の分画抽出物の50%メタノール分画(F5)にのみ変異原性が確認された。また辛味成分カプサイシンはこのF5分画とは異なっていた。F5分画から原因物質を同定するため分離を行った。上述操作を繰り返し、得られたF5分画溶出液を減圧濃縮によりメタノールを除去し、水溶液50mlを準備した。本溶液をODSオープンカラムに通過させ、水100mlで洗浄後、30-50%メタノール水溶液でグラジュエント溶出させた。15分ごとの8分画を採取した。各溶出液は減圧下で蒸発乾固させ、変異原試験に供した。5分画(F5-5)に明確な変異原性が確認された。F5-5を更に6分画に分け、各分画を減圧下で蒸発乾固させ、変異原試験に供した。3分画目(F5-5-3)をピークにすべての分画に変異原性が認められた。F5-5-3を用い薄層クロマトグラフィーによる分離確認を行ったところ数個のスポットが確認された。このうちのメインスポットは291nmの紫外部に極大吸収を持つことが確認され、FDマスにより分子量699であることが分かった。しかしこのスポットの変異原性は確認されなかった。今後はHPLCカラムクロマトグラフィーによる分取を行い、変異原性のある分画について更にHPLCマスを用いて原因物質を同定する必要がある。
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