研究概要 |
研究者らは内分泌撹乱物質または推定内分泌撹乱物質に対する細胞の反応を検出るるため,マイクロフィジオメトリーアッサエイ法を用いた,内分泌撹乱物質スクリーニングシステムの構築を企画し,本研究を推進してきた.マイクロフィジオメトリーアッサエイ法は細胞の微細な代謝変動をもpH測定によって検出する技術であり,最近ホルモンやサイトカインの研究で多用されるようになった.本法を用いた内分泌撹乱物質スクリーニングシステムによれば,試験化学物質が内分泌撹乱物質であるのか,どのホルモン受容体を介しているのか,また,その作用の強さは如何ほどであるかを明らかにすることも可能であると考えられる. 今年度は,本スクリーニングシステムの効率を確かめることを目的に,ムスカリンM1受容体を形質移入したCHO細胞(M1WT3 細胞)を用いて,ムスカリンM1受容体の作用薬であるcarbacholを投与し,その反応を測定する実験を行った.マイクロフィジオメータの中でM1WT3細胞に0.1,0.3,1.0,3.0,10,30,100μMのcarbacholを30分間の洗浄作業を挟んで各々60秒間暴露し,細胞の酸性化反応を測定した.同様の実験を10回実施し,その平均値を求めたあと解析を行った結果,carbacholのEC_<50>は2.5μMであった.標準誤差は5〜10%であり,本法により得られた測定値は再現性があることを示した.今後の研究として,エストロゲン受容体などのホルモン受容体形質移入した細胞を用いて,既知または推定内分泌撹乱物質に対する反応を測定・解析し,スクリーニングシステムの確立を目指した実験を続ける予定である.
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