研究課題/領域番号 |
11670344
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 佐賀医科大学 (2000-2001) 九州大学 (1999) |
研究代表者 |
田中 恵太郎 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50217022)
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研究分担者 |
清原 千香子 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00169963)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 肝細胞癌 / 症例対照研究 / 遺伝子多型 / 薬物代謝酵素 / チトクロームP450 / N-アセチルトランスフェラーゼ / 飲酒 / 喫煙 |
研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)とB型肝炎ウイルス(HBV)がわが国における肝細胞癌の主要な原因である事は明らかであるが、近年cytochrome P450(CYP)やN-acetyltransferase(NAT)などの薬物代謝酵素の遺伝子多型が肝癌リスクと関連しているという報告がなされた。これらの遺伝的要因と環境要因が相互的にどの様に肝発癌に影響を及ぼしているかは十分に解明されていない。本研究では、薬物代謝酵素の中でCYP2E1とNAT2の遺伝子多型が肝癌リスクと関連しているかどうか、また飲酒・喫煙習慣との間に交互作用が見られるかどうか、について症例対照研究の手法により検討した。肝癌群41名(男性71%、anti-HCV陽性80%、HBs抗原陽性17%)および病院対照群104名(男性71%、anti-HCV陽性8%、HBs抗原陽性2%)について専任の調査員(看護婦)がインフォームドコンセントを得た後、面接調査と遺伝子解析のための採血を行った。遺伝子型はPCRによって多型部位を含む領域を増幅し、制限酵素断片長多型により判定した(CYP2E1については5'-flanking領域のRsal多型、NAT2についてはコード領域のAsp718/BamHI/Taq多型)。CYP2E1のc1/c1、c1/c2、c2/c2型は、肝癌群においてそれぞれ73%、22%、5%において観察されたのに対して、対照群においては63%、35%、2%であった。c1/c1型のオッズ比は1.6(95%信頼区間0.7-3.5)と推定された。c1/c1型のオッズ比は、多飲歴のある男性ではかなり上昇していたのに対して(オッズ比=9.0)、多飲歴のない男性ではその様な傾向は見られなかった(オッズ比=0.9、P for interaction=0.09)。c1/c1型と喫煙との間にも同様の交互作用が観察された(オッズ比:4.3vsO.8)。全体としては、NAT2多型・表現型と肝癌リスクとの間に関連は見られなかった。しかし、rapid acetylatorのオッズ比は男性喫煙者において1.9と上昇する傾向にあったのに対して、非喫煙者・禁煙者においては0.8と上昇が見られなかった。これらの結果より、CYP2E1とNAT2多型が飲酒あるいは喫煙習慣との交互作用のもとに肝発癌に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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