研究概要 |
平成11年度と同方法(同季節;7〜10月)で、雄の日本白色家兎(体重3kg)9匹を用いて動物実験を行った。11〜12年度をまとめて4群(計17匹)【I群(4匹);対照、II群(4匹);Estradiol(以下Estと略す)投与、III群(4匹);鉛投与、IV群(5匹);Est+鉛投与】の平均値を比較すると、Ht、Hb値はEst投与後4週目から、IV群は明らかに低下し、II群はI群より低く、IV群より高い傾向を示した。尚、FeS値はいずれの投与群も正常範囲内であったが,9週目のみIV群が低下、III群が低下傾向を示した。ALA-D活性は4週目からIII,IV群に鉛による著しい低下はみられたが,この2群間に有意差は見られなかった。FEP値も4週目からIII,IV群に鉛による明らか上昇はみられたが,Estによる相乗効果はみられず、逆に6週目以降,III群よりIV群の方が低値を示した。GOT、GPT値はいずれも,IV群に上昇、II群に上昇の傾向がみられた。実験終期の末梢血、骨髄及び肝のALA-D活性をみると、Estによる相乗効果は明らかではなかったが、肝ALAD活性でI群に比べII群に上昇の傾向がみられた。また,血中ALADの6及び8週目でI群よりII群が高値を示した。以上より、(1)以前のラット実験の結果と同様に、FEP値のEstによる相乗効果はみられなかった。(2)Estの影響による貧血傾向がラットと同様にみられたが、血清鉄は9週目にのみ低下傾向がみられた。(3)血液・骨髄・肝ALA-D活性へのEstによる相乗効果は、その傾向がみられたが、明らかではなかった。(2)、(3)の結果を解明するには例数の追加や長期投与実験が、また、Est以外の性ホルモンの影響、去勢雌家兎での実験などの検討も必要と考えられる。後1年の優先順位を検討中である。尚、ヒトの調査は、最適の対象が得られなかった他、諸事情により、まだ、実施していない。
|