研究概要 |
1.実験課題プログラムの作成:S.I.M.P.L.E.(Subjective lndexes and Mental task Program for Laboratory Experiment)という実験用プログラムセットを作成した.SlMPLEでは,(1)課題難易度が被験者の反応の正誤に応じて自動的に変化する暗算課題(MATH),(2)STAI,SACL,POMSの3種類の質問票から同一あるいは類似している項目の重複を避けて選定された92項目,4段階評定尺度法によるコンピュータ化された質問票,(3)NASA-TLXコンピュータ版,(4)安静時用の画面表示,の4つのサブプログラムがあらかじめ設定されたシナリオにそって実行される.また,MATHの作業成績(正答率,反応時間)計測プログラムおよび,質問票から,ストレス,覚醒感,状態不安,緊張-不安,抑鬱-落込,怒り-敵意,疲労,混乱,活気,親しみの10種の気分尺度を算出するプログラムを同時に作成した.なお,SlMPLEには組み込んでいないが,鏡映描写課題プログラムも作成した. 2.実験装置のsetup:作業中の被験者の瞳孔面積を連続計測できる実験ワークステーションを作成し,これに,多用途脳波計,非観血連続血圧計,手掌発汗計,レーザ血流計,指尖容積脈波計,心拍出量計を組合わせ,総合的に生体反応を計測できる実験システムおよび実験状況(被験者の様子,課題提示画面等)を記録できるビデオシステムを構築した. 3.予備実験:本年度は課題が暗算作業のみのため,上記SlMPLEを用いて香り(ヒノキチオール)付加時の影響について検討した.14名の被験者に実験を行い,作業成績,気分尺度,生理反応を計測した.その結果,香りによりストレス感などの負感情が低減され,作業成績にはあまり影響しないこと,生理指標では有意差が示されたものは少ないが,リラックス効果があることが伺われた.
|