研究概要 |
本年度は,1.ワークロード研究に関連する装置およびコンピュータプログラムを整備し,2.ワークロード関連の実験を実施するとともに,3.複数指標の統合化の概念についてまとめた. 1.昨年度に引き続き,実験課題用コンピュータプログラムおよび生理信号処理プログラムの整備・開発を行った.課題用プログラムでは,昨年度作成したSIMPLE(Subjective Indexes and Mental task Program for Laboratory Experiments)に暗算課題を組み込んだ.生理信号処理プログラムでは,心拍メモリ装置による心拍変動性解析のためのプログラム,血圧解析,瞳孔面積解析などのプログラムを新たに作成した.また,心拍変動性のスペクトル解析についてはHEART SYSTEMとしてプログラムおよびその解説書を整備した. 2.実施した実験では,上記SIMPLEは用いず,鏡映描写課題と複合多重課題MAT(Multi-Attribute Task)batteryを用いた.これら両者の課題の生体反応の差異を,心拍メモリ装置を使用した心拍変動性の解析を中心にして検討した.その結果,従来の報告にあるように,鏡映描写課題では,強い課題負荷にも関わらず心拍数は増加せず,パターン2型反応が誘発されていることが検証された. 3.昨年度実施した実験で計測した生理データのうち,未解析であった血圧,瞳孔面積,発汗の解析を行い,これらの解析結果と昨年の解析結果をあわせて,主成分分析による指標の統合化(合成得点)をこころみ,その意義について考察した. なお,本研究成果をワークロード研究へ寄与させる目的で,作成されたプログラムのうち,HEART SYSTEMとZ-TRACE(鏡映描写課題)は希望者(大学研究者に限る)に無償配布を行っている.
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