【はじめに】平成10年度の自殺死亡者数は3万人を越えている。特に、男性は50歳代6103名と最も多く、中高年男性の自殺死亡者が増えている。このような中で職場のメンタルヘルス対策に対する効果的なアプローチ法を検討するために、全国都道府県・市町村・民間などに職場におけるメンタルヘルス状況や対策の実施内容、その評価などについて、2000年4月アンケート調査を実施した。 【対象と方法】調査票は自治体など3295職場、及び全国消防職員協議会(全消協)168組織に配布して、1594(46.0%)職場から回答があった。その内、団体記載などの記入漏れ18を除いた1575(45.8%)を有効回答とした。回収率は都道府県72.8%、政令市81.8%、特別区3.8%、市63.2%、町村45%、民間企業16.9%等であった。また大規模職場で管理職研修でリスナー研修など、いくつかの健康教育におけるアプローチを行った。また小規模職場で個々に記名式にストレス調査を行ない、呼び出し面談を行った。 【結果】1)職場でのストレスは85.0%増えていた。逆に「減っている」はわずかに0.1%であった。2)「メンタルヘルスに関して問題になっている」と47.6%が回答していた。3)身体疾患以外で長期休む職員について36.7%、体調不良を訴える職員については60.0%が増えていた。4)ストレス要因で「業務の量のストレス」「業務の質のストレス」「職場の人間関係ストレス」「人員削減に関すること」が高率だった。5)メンタルヘルス対策は20.1%が実施していた。しかし、その対策が「うまくいっている」と回答していたのはわずかに5.0%であった。6)管理職研修などでリスナー研修、ロールプレイ演習、グループワークを取り入れたら効果的であった。7)質問紙で低ストレス群でも、うつ傾向の職員がみられた。「やるしかない」と回答していた職員は精神的不健康者が多かった。
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