本研究は、首都圏にある大都市を代表する横浜市(320万人)に勤務する公務員(3万2000人)などの職域集団に注目した都市部在住者を対象とした生活習慣および環境要因と健康に関する前向きコホート研究である。身体的側面のみならず、心理社会的側面(ストレス、QOL)にも注目した生活習慣と健康に関するアンケート調査と健康診査を実施し、基本的には5年間程度フォローアップして、様々な健康指標との関連を分析する。 本年は、プロトコールの作成およびアンケート調査票の作成を実施した。生活習慣やストレスと健康に関連する国際的な研究の動向を文献検索整理により検討した。また横浜市職員健康管理医の杤久保は、最近の職員の健診結果成績から、生活習慣病の頻度について検討した。 国際的に評価の高いWHITEHALL II Study(英国の国家公務員を対象としたコホート研究)で用いられたプロトコールに準じて、本研究用のプロトコールを作成した。またWHITEHALL II Studyで用いられた調査票(英文)を研究協力者のMarmot教授(ロンドン大学)より入手し、翻訳を翻訳協力者とともにおこない、実施可能な調査票の作成を検討した。心理社会的側面の評価には、健康関連QOLの測定のために開発されたSF-36(Medical Outcome Study Short Form 36 Health Survey)の日本語版(福原俊一東京大学助教授監修)などの信頼性、妥当性が確立された方法を用いることにした。
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