本研究は、首都圏の某市に勤務する公務員などの職域集団に注目した都市部在住者を対象とした生活習慣およぴ環境要因と健康に関する研究で、身体的側面ならず、心理社会的側面(ストレス、QOL)にも注目した生活習慣と健康に関するアンケート調査を実施して、様々な健康指標との関連を検討することを目的とした。 アンケート調査票は、英国の国家公務員を対象としたWHITEHALL Studyで用いられた調査票をもとにして作成'した。心理社会的側面の評価には、健康関連QOLの測定のために開発されたSF-36(Medical 0utcome Study Short Form 36 Health Survey)の日本語版(福原俊一、他.SF-36日本語版マニュアル(Ver1.2):(財)パブリックヘルスリサーチセンター、東京、2001)を用いた。 内容は、属性に関する質問、健康に関する質問、生活習慣に関する質問、仕事に関する質問、性格に関する質問、杜会生活に関する質問、健康診査結果に関する質問の8項目、計85問よりなる。 アンケート調査対象集団として某大学病院看護部職員574名を対象とした。回答数は452で、回答率は78.7%と高率であった。回答者の内訳は、男性2名、女性474名で、年齢階級別では、20代262名、30代163名、40代36名、50代15名であった。健康状態に関する質問では、「最高に良い」0.4%、「とても良い」8.9%、「良い」61.7%で合わせて71%が良好で、「あまり良くない」25.6%と「良くない」1.3%をあわせると26.9%であった。また疲れを感じるかどうかに関する質問では、「いつも」12.6%、「ほとんどいつも」25.9%、「たびたび」32.8%、「ときどき」21.5%で、92.8%が「ときどき」以上の頻度で、疲れを感じていた。精神的健康に関する質問で、気分の落ち込み、疲れを感じるものの割合が高率であった。職場や家庭などでの生活・役割や満足度などと合わせて背景となる原因を検討し、健康づくりの根拠として役立てていく必要があると考えられた。
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