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2001 年度 実績報告書

ヒ素化合物の曝露評価と細胞周期撹乱作用

研究課題

研究課題/領域番号 11670383
研究機関大阪市立大学

研究代表者

圓藤 吟史  大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20160393)

研究分担者 黒田 孝一  大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30158886)
キーワードヒ素 / 有機ヒ素 / 代謝 / グルタチオン / 腸内細菌 / 大腸菌
研究概要

我々はこれまでにラットにおいて発癌報告のあるジメチルアルシン酸(DMA)を長期間ラットに投与し、その尿中代謝物を調べ、長期投与によりDMAと未知のヒ素代謝物(M-1、M-2)の排泄量が増加し、トリメチルアルシンオキサイド(TMAO)の排泄量が減少することを明らかにした。
今年度は長期投与において排泄量の増加する未知ヒ素代謝物に焦点をあて、この代謝物が一般的なヒ素の解毒代謝経路であるメチル化の過程で生じた代謝物であるかどうかを調べた。メチル化にはグルタチオン(GSH)が必要であるが、このGSHを涸渇させたラットと対照群ラットにDMAを1回経口および腹腔内投与し、その尿中ヒ素代謝物を比較した。経口投与では、GSHを涸渇させたラットでM-1、M-2の尿中排泄量が増加した。一方、メチル化代謝物であるTMAO排泄量は減少した。このことは未知ヒ素代謝物が肝臓のGSHが関与するメチル化とは異なる代謝経路で生成されることを示唆している。また、M-1,M-2は経口投与の方が腹腔内投与より多く排泄された。DMA長期投与後の尿と糞の代謝物を比較すると、M-1,M-2はラット糞中のDMAの主要代謝産物であること、また、糞中には新たに未知ヒ素代謝物M-3が存在し、DMAの主要代謝産物であることが明らかになった。これらのことはM-1,M-2の生成に腸内細菌が関与していることを示唆している。
DMA長期投与後のラット盲腸よりDMA変換能のある菌を分離し、in vitroでヒ素化合物の変換能を調べた。その結果、M-2、M-3は大腸菌によりDMAから変換され、M-1はTMAOから変換されることが明らかになった。またこの反応はシステイン要求性であることもわかった。以上の結果より、未知ヒ素代謝物は肝臓でのメチル化の過程でなく、腸内細菌によって生成されていることが明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Yoshida, K., Kuroda, K., Endo, G.et al.: "Metabolites of arsenobetaine in rats : does decomposition of arsenobetaine occur in mammals ?"Appl.Organomet.Chem.. 15. 271-276 (2001)

  • [文献書誌] Kuroda, K., Yoshida, K., Endo, G.et al.: "Enteric bacteria may play a role in mammalian arsenic metabolism"Appl.Organomet.Chem.. 15. 548-552 (2001)

  • [文献書誌] Yoshida, K., Kuroda, K., Endo, G.et al.: "Metabolism of dimethylarsinic acid in rats : production of unidentified metabolites in vivo"Appl.Organomet.Chem.. 15. 539-547 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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