研究課題/領域番号 |
11670384
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
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研究分担者 |
山本 博一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (30316088)
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (40295811)
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (70264877)
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キーワード | 聴覚 / 聴性脳幹反応 / 騒音 / 有機溶剤 / 複合曝露 / 相乗効果 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、被検動物としてモルモットを用い、対象有害要因としてメタノールと騒音を、単独ではほとんど影響のでない曝露量を複合曝露し、聴性脳幹反応(ABR)を指標として聴覚閾値にどのような影響を及ぼすかを検討した。 騒音単独曝露群として、音圧100dBのwhite noiseを1日3時間、6日間連続曝露した。メタノール単独曝露群には、曝露チャンバー内において1日8時間、7日間メタノールを曝露した。複合曝露群には、騒音曝露に続いてメタノールを曝露した。曝露直後の閾値変動をみると、ABRの4、8kHz刺激音において、群間に有意な差を認め、複合曝露群で曝露前値比べて閾値上昇の傾向が認められた。8kHzにおける閾値変動の経時変化をみると、1,900ppm曝露群で最も大きな閾値上昇を認め、次いで1,500ppm曝露群の順であった。閾値上昇は、1週後に軽度回復したが、その上昇傾向は4週後まで続いていた。また、複合曝露群で対照群に比べ有意な閾値上昇を認めた。メタノールと騒音を複合曝露した場合、それぞれ単独では影響の出ない曝露量でも聴覚に影響を及ぼすことが分かった。 産業現場において有機溶剤と低騒音環境(85dB未満)における作業者の聴覚への影響を調べるために、ボタン工場およびバスユニット工場で主としてスチレンを取り扱う男子従業員115名を対象に、作業環境として個人曝露濃度と生物学的モニタリングを、聴力検査として気導聴力と最高可聴閾(可聴周波数の上限値)を調査した。 その結果、許容基準以下の比較的低騒音レベルおよび低濃度の有機溶剤曝露であづても、有機溶剤取り扱い作業者に最高可聴閾の低下しているものが多く、取り扱い5年以上のものにその影響が顕著であった。また、最高可聴閾の低下と有機溶剤の曝露状況との間に量影響関係が成立していることが分かった。
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