1)財団法人いしずえ(サリドマイド福祉センター)の協力を得て、日本における認定サリドマイド胎芽病者309名(男171名、女138名;平均年齢38歳、41〜31歳)の中、4名(男3名、女1名)死亡のため、計305名(男168名、女137名)に対して、(1)現況調査の既存資料の整理を行った。調査の内容は、基本的属性、現在状況(就学、就学状況)が中心であり、身体状況、困難、相談事項の自由記載などである。最近の現況としては、就学者が215名(70.5%)、学生2名(0.6%)、専業主婦47名(15.4%)、自宅療養・求職者25名(8.2%)、福祉施設在所・通所者8名(2.6%)、不明者8名(2.6%)であった。(2)事務局員の日常的な相談活動により得られた個人資料を基に、(1)の資料と合わせて精神保健上の問題の検討を行った。その結果、大半は社会生活に適応しているが、34名(11.1%)の者に適応上、何らかの問題がみられた。精神障害、重複障害、適応障害などであるが、それらの事例に対してより詳細な事例検討と対策およびサポート体制の検討を行うことが課題となった。2)なお、これらの事例の一部の者に面接調査を行った。 3)帝京大学病院において実施しているサリドマイド胎芽病者の精密検診は、現在も継続中であり、現在までに総検診者数182名(59.7%)に至った(複数回検診者を除く)。それらの検診結果を現在、整理中である。なお、サリドマイド健康管理研究班は、班員の交替などもあり、現在、総合精密健診体制自体の見直し、および再構築が必要になっており、その検討を行っているところである。
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