【目的】血清Cペプチドはプロインシュリンからインシュリンと等モルに分離するが、肝臓で代謝されずインシュリンに比べて安定である。本研究はこの点に注目して、肝臓におけるインシュリンクリアランスを算出し、糖尿病との関係を検討することを目的とした。 【方法】成人病検診の際に生活習慣質問票、空腹時採血、腹囲、臀囲の測定を行った。その血清を用いてCペプチドを測定した。検体数は1820検体だったが、1)インシュリン測定値がある、2)血糖測定値がある、3)身長、体重、腹囲、臀囲の測定値がある、4)同一人物の検体が複数ある場合は、最初の検体を用いる、という基準を満たした解析対象者は1805名であった。過去に糖尿病と診断されている者を糖尿病群とし、それ以外を非糖尿病群とした。1)BMI、2)WHR、3)肝機能障害:GOT>40IUあるいはGPT>35IU、を交絡因子と考えた。BMIは18.2以下をやせ、25.0以上を肥満とした。WHRは解析対象者の最下位20%、最上位20%、その他の3群に分けた。糖尿病の有無とインシュリン量、インシュリン抵抗性、Cペプチドーインシュリン比(CIR)との関係を、上記の交絡因子を考慮しながら検討した。インシュリン、Cペプチドともにモルに変換し比を取った。インシュリン抵抗性(IR)はHOMAモデルを用いて計算した。インシュリン、インシュリン抵抗性、CIRは連続変量として用い、多重ロジスティック解析により検討した。 【結果】糖尿病群で有意に高かったのはWHR、インシュリン、インシュリン抵抗性、有意に低かったのはCペプチドーインシュリン比、有意差が認められなかったのはBMI、Cペプチドであった。インシュリン、インシュリン抵抗性が上昇すると、糖尿病になる危険が有意に高くなった。一方、Cペプチドーインシュリン比が1単位上昇すると糖尿病になる危険が0.93倍になった。
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