研究概要 |
1.[目的]:全国国立療養所入所の重症心身障害児(者)の生存分析を行う。 2.[方法]:はじめに、データベースの整備を行った。分担研究者の中村による1988年度の全国の国立療養所調査結果(約7,000人)の結果と国立療養所死亡データとを、出生年月日、性別、重症度分類、個人チェックリスト項目(国立療養所版)などで同定し、突き合わせを行い、新しいデータベースの作成を行った。 3.[対象児(者)]:国立療養所に1988年1月1日の時点で入所していたことが推定され、その後、1995年12月31日の時点で生存(6,005例)か死亡(515例)が確認された重症心身障害児(者)(6,520例)である。 4.[解析]:作成したデータベースから生存時間を計算し、Kaplan-Meier法による生存率の算出を行った。更に、中村によるチェックリスト項目別にカテゴリーを層別化して群間の生存率曲線の検定を行った。 5.[結果](1)年齢階級(5歳)別生存曲線:対象者を実態調査表I群に限定して、1988年の調査時点の5歳年齢階級別にその後8年間の予後を生者率で観察した結果、5歳未満の群が最も予後が悪く、19歳までの群では調査時に年齢が若い方がより生存率が低い傾向が明らかであった。(生存率の群間の比較ではRogRank検定でp=0.0000と有意差があった。)20歳を超える群とそれ以前の群における質的差異の検討が今後の課題となる。 (2)予後に関連する要因の検討:生存と死亡(0/1)を目的変数とし、個人チェックリスト項目を共変量とするロジステック回帰分析を用いた。食事の形態で経管群の予後がいずれの年齢階級においても不良で、年齢依存性の変容が見られなかった。このような年齢依存性変容の見られない項目について更に検討を行う予定である。
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