研究概要 |
「目的」全国の国立療養所入所の重症心身障害児(者)の生存分析を行い予後を推計する。 「対象」1988年に行った全国の国立療養所入所者の個人チェックリスト調査デーク(共同研究者の中村による約7000人のデータベース)と、折口(国立療養所西別府病院)による国立療養所の8年間の死亡データをつきあわせて生存分析用のデータベースを作成した。1988年1月時点で入所が確認された集団を固定コホートとした。6520名が対象となった。8年後の1995年12月まで観察を行い、生存6,005名と死亡515名が確認された。 「結果」1.障害度分類別死亡率の検討では、大島の分類別死亡率を見ると、大島の分類【1】が14.93%と最も高かった。実態調査票分類ではI群が10.83%であった。2.生存分析:1)Kaplan-Meier法による予後に及ぼす要因別の生存率を求めた.(1)年齢別生存率では、0〜9歳の群が80.12%であった。(2)性別の生存率は男性で90.52%,女性で92.12%であった。(3)姿勢の状態別生存率をみると、「どんな姿勢でも首の坐りなし」群が75.95%の生存率であった。(4)移動の状態別生存率をみると、「移動できない」群が79.71%のであった。(5)痙攣の頻度別生存率をみると、「ここ2ヶ月間発作がかなり多い(10回以上)」群が82.84%であった。(6)手の機能別生存率をみると、「手で握ったまま、あるいは動かせない」群が73,84%であった。(7)運動障害別生存率で「寝たきり」群は86.03%であった。(8)知能別生存率曲線をみると、IQ20以下群が最も生存率が低いものの91%と高かった。(9)食事の形態別生存率で「経管」群の生存率は65.5%であった。3.Coxの比例ハザードモデルを(強制投入法)を用いて、予後に及ぼす要因の強さを検討した。有意であった共変量は性別、移動の状態、食事の形態、運動障害、手の機能、年齢であった。
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