研究概要 |
今や脳・心血管疾患等の生活習慣病の基礎疾患となっているアテローム性動脈硬化の予防は最重要課題の一つとなっている。本研究では、食によるアテローム性動脈硬化予防を志向し、食品成分が脂質代謝に及ぼす影響について分子・遺伝子レベルにまで検討を進めた。 まず、各種アポタンパク、脂質代謝関連酵素のmRNA発現量の測定法の確立を行った。すなわち、それぞれのタンパクのcDNAに対応するSense&anti-sense primerを作成し、RT-PCRを行った後、Densitograph AE-6915-Lane analyzer systemにより、それぞれのタンパクのmRNA発現量の定量化を確立した。これまでに定量化を確立したものとして、apoA-I,apoE,Cholesterol7α-hydroxylase,HMG-CoAreductase,Micrsomal triglyceride transferprotein(MTP),h-TGL,PPARα等がある。現在は、この確立した方法を用いて、これまで明らかとしてきた有効成分の作用機構を遺伝子レベルまで掘り下げて明らかとするため、血清リポ・アポタンパク代謝と肝臓における各種アポタンパクのmRNA発現動態ならびにコレステロール代謝関連酵素活性とそれらの酵素のmRNA発現量との関連性の検討を進めている。更に、モデル動物として食餌性高脂血症を誘導した高血圧自然発症ラット(SHR)を用い、新規な食品としてハープシール油、カボス果汁粕、キノア粉末等を選び、上記定量法を応用し新たな脂質代謝改善作用を認め、その作用機構の検討を進めつつある。 研究成果は、すでに第35回SHR学会総会('99年8月、札幌)、8^<th>Asian Congress of Nutrition('99年8月、Seoul,Korea)、第22回日本高血圧学会総会('99年l0月、高松)、第38回日本栄養・食糧学会近畿支部大会('99年l0月、京都)にて発表すると共に、平成12年度に開催される学会での発表や論文化に向け準備を進めている。
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