我が国の輸入石綿の95%以上が建築材料として消費されている。そのため、建設作業者は、空調・保温工など、古くから石綿を使用する作業に従事していたもののみならず、高濃度の石綿を含有するサイディング材を切断・貼り付け作業に従事するサイディング工など、高濃度の石綿暴露職種も新たに出現した。また、大工や瓦工、左官、水道配管、鉄工、塗装など、従来からの職種でもも低濃度ながら石綿の暴露を受ける職種も大幅に拡大した。 これまでの検討で、建設作者業者では広範な職種に石綿暴露指標としての胸膜肥厚斑を認めたこと、胸膜肥厚斑の有所見者率がこの10年で約2倍に増加していることが明確となった。また、建設作業者の剖検による検討を続け、胸膜肥厚斑の剖検による有所見者率や肺内石綿量の検討を実施している。 また、建設国保組合の協力を受けて、建設作業者の石綿肺の発掘や石綿関連肺癌の検討を続けている。あわせて、神奈川県建設連合国保組合の組合員を対象としてcohort研究を実施し、現在、観察中である。
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