研究課題/領域番号 |
11670404
|
研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
勝川 千尋 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (20183725)
|
研究分担者 |
鈴木 定彦 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (90206540)
|
キーワード | 結核菌 / ピラジナミド / 薬剤感受性試験 / ピラジナミダーゼ / pncA / 耐性 / 迅速検出法 / in vitro転写 / 翻訳システム |
研究概要 |
収集した結核菌のピラジナミド(PZA)感受性試験をpH5.5に調整した7H10寒天培地を基礎培地として実施し、MICが200μg/ml以上の耐性菌30株および感受性菌16株を供試した。 PZA感受性菌16株はすべてピラジナミダーゼ活性を有し、ピラジナミダーゼをコードする遺伝子(pncA)に変異は認められなかった。これに対して、PZA耐性菌30株はすべてピラジナミダーゼ活性を失っており、30株中29株はpncAに変異が認められ、残り1株はpncA全体を欠いていた。PZA耐性とピラジナミダーゼ活性の消失またはpncAの変異に相関が認められることが判明したが、これらは検査に数週間を要したり、検査コストが高くつくなどの理由で一般の臨床検査室で実施できるものではない。 そこで検査の迅速化および簡素化を目的としPCRを利用したin vitroの発現系を利用したPZA耐性菌の検出法を開発した。T7ファージプロモーター配列を含むプライマーを用いてpncAを増幅、これをウサギ網状赤血球抽出液を用いたin vitro転写/翻訳システムによりピラジナミダーゼを産生させ、定量して発現量を測定した。その結果、このシステムで耐性菌はすべてピラジナミダーゼ活性を発現しなかったのに対して、感受性菌はピラジナミダーゼ活性を発現し、明確に判別できた。PZA耐性菌には検出率は低いがpncAのプロモーター領域に変異が認められるものも報告されている、これらの株は本システムでは検出できないが、それ以外の90%以上のPZA耐性菌を検出でき、検査所用時間も8時間程度であることから非常に有用なPZA耐性菌検出法であると考えられる。
|