研究分担者 |
篠塚 達雄 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70095610)
村井 達哉 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80129692)
吉岡 尚文 秋田大学, 医学部, 教授 (80108935)
三戸 聖也 弘前大学, 医学部, 助手 (30312490)
齋藤 一之 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10215535)
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研究概要 |
平成11年度に引き続き,本研究の目的である死体における飲酒後経過時間推定のために,飲酒後死亡例における体液中のエタノール濃度分析を行っている.平成12年3月から平成13年2月末までに弘前大学分だけで取り扱った解剖例数は昨年度よりも多く全部で156例あり,うち体液アルコール検査を実施した例は100例であった.このうち体液中より有意濃度のアルコールが検出されたものが24例あり,他機関ならびに前年度と併せて60数例の事例が収集出来ている. 平成12年度分(平成12年3月から平成13年2月末まで)だけでみた各体液間におけるアルコール濃度の相関係数は,心臓血:大腿静脈血=0.89,心臓血:尿=0.75,心臓血:脳脊髄液=0.93,心臓血:硝子体=0.87,大腿静脈血:尿=0.90,大腿静脈血:脳脊髄液=0.92,大腿静脈血:硝子体=0.96,尿:脳脊髄液=0.92,尿:硝子体=0.96,脳脊髄液:硝子体=0.93であり,従来の報告どおり大腿静脈血と硝子体のアルコール濃度の相関性が高いことは示されている. これまで比較されることが少なかった血液以外どうしの相関性については,特に脳脊髄液と尿および脳脊髄液と硝子体において予想外に強いことが示されている.しかし,個々の症例について比較すると,尿中アルコール濃度/脳脊髄液中アルコール濃度は最低0.36から最高2.78,また硝子体中アルコール濃度比/脳脊髄液中アルコール濃度比が最低0.60から最高1.41で,前者の方がばらつくことから,昨年度に予想したもの以上に,尿と脳脊髄液とのアルコール分布に飲酒後から死亡までの時間的要素が大きく寄与していることが伺われた. 次年度は,主としてこのように諸体液の濃度にばらつきの大きな症例の収集を目指し,飲酒後経過時間によるアルコール分布のパターン化を試みることとしたい.
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