●ラット初代培養細胞において、転写制御因子NF-κBはナルコール(エタノール)により活性化するが、生理的LPSによる活性化に比べその程度は高い。 ●ラット肝細胞において、LPSによるNF-κB活性化はエタノール負荷により一時的に減弱するが、その過程には代謝物アセトアルデヒドによる変性・分解過程の阻害が関与している。 ●エタノール負荷で生じるLPSによるNF-κB活性化の減弱は負荷後1時間程度であり、その後活性は上昇する。 ●50mMのエタノールによりNF-κBは活性化するが、一方AP-1は負荷後60分から減弱する。 ●IκB分解阻害剤の付加によりAP-1活性の減弱は阻害された。エタノールによるAP-1活性減弱機構にはNF-κB活性化経路が関与している。 ●IκB分解阻害剤の付加はエタノールによるアポトーシスを減弱させた。エタノールによるアポトーシスへのNF-κB活性化経路の関与が示された。 ●Wistar雄ラットにおいて、アルコール急性投与により心臓および肝臓においてNF-κBおよびAP-1の活性化が認められたが、心臓における活性化は投与3時間以降において著明であった。 ●In vivoにおけるアルコール投与では心臓において低酸素応答性の転写制御因子HIF-1αの活性化が遅延的に認められ、飲酒後心臓で虚血性変化が生じる可能性が示唆された。
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