Methamphetamine(MAP)は、興奮系薬剤に分類され、dopamine neuronの変性及び神経細胞死を引き起こすが、その機構については十分に解明されていない。MAPなどの薬物も細胞にとってストレスとなり、細胞死を惹起する。PC12cellに1〜5mM MAPを添加し、6〜48時間にわたり生存率を測定したところ、濃度及び時間依存的に低下した。逆にTUNEL陽性細胞の数は増加した。また、Giemsa染色では核の濃染像が見られた。z-VAD-fmkは、生存率の低下を抑制し、caspaseに依存した細胞死であることが示された。しかし、DNA断片化(ladder)や核の縮小、断片化、アポトーシス小体形成は認めないことにより、典型的なアポトーシスとは異なる。 細胞死はPKC activatorで抑制され、PKC阻害剤で促進された。PKC-α、δの特異的阻害剤safingol、rottlerinにより生存率の低下が認められなかったことから、PKC-α、δはMAPによる細胞死に関与していないと推定された。Western blot法でPKCの局在を観察すると経時的にPKC-εが細胞質から細胞膜へtranslocationしていた。一方、antisense PKC-εはMAPによる細胞死を増加させた。さらに、glutamine酸受容体拮抗薬MK801はMAPによる細胞死を抑制し、その効果はPKC阻害剤により抑制された。 MAPはPC12cellに細胞死を引き起こすが、純粋なapoptosisではない。その過程で、PKC-εが活性化され、PC12細胞のMAPによる細胞死を抑制していることが示された。
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